統合失調症

統合失調症とは

人口の1%弱にみられる重症度・治癒度の幅が広い病気です。

軽いものから重いものまで、治りやすいものから治りにくいものまで、幅の広い病気です。
症状は大きく 陽性症状と、陰性症状にわけて考えることができます。

統合失調症

症状について

陽性症状
幻覚、妄想、滅裂、興奮など、本来健康だったときに無かった病的なものが付け加わったもの
陰性症状
意欲がない、集中力が無い、持久力が無い、人と生き生きと上手にかかわれず閉じこもりがちになるなど、本来健康なときにあった能力が発揮できなくなるもの

幻覚や妄想などの陽性症状だけが病気だと思われがちですが、長期的には意欲の低下や自閉などの陰性症状の方が生活に困難を与えることが多いと言えます。また陰性症状は家族や周囲の人間に怠け、甘えなどと誤解されやすく、そのストレスが更に病状を悪化させることも多く、陰性症状の正しい理解が重要です。

発症について

育て方で発病するものではありませんが、発病後は家族の接し方で経過に差が出ることが判っています。家族の本人に対する接し方を数値化したものでは英国のJulian Leffの作ったEE [統合失調症患者に対する家族の感情表出 (Expressed Emotion)] が有名です。
(1)批判的なコメント (2)敵意 (3)感情的巻き込まれすぎ は再発に関係し、(4)温かみ (5)肯定的コメント は予防的に働くというものです。

未治療の状態では病識(自分が病気であるという自覚)がないことが多く、家族を困らせます。妄想をおかしいと否定したり、幻覚を病気だといっても、本人は理解してくれないと殻に閉じこもるばかりです。症状による苦痛(辛い、眠れない、苛々する)に焦点をあてて、ストレスがたまって神経が参ってしまうといけないので病院で「辛さ」だけでも和らげてもらおう等と受診を勧める方がよいでしょう。

統合失調症の治療について

薬物療法、精神療法、リハビリテーションですが、病識のない状態から徐々に治療を進め、いかに病気の自己理解を深め、自己管理能力を高めていくかに尽きます。

本人をサポートする家族が参ってしまうこともあり、「家族支援」が重要です。正確な情報の提供(病気の仕組み、経過、薬など)対処能力の向上(問題解決技法:困っている課題にそって解決策を検討する。SST:目標場面を設定しコミュニケーションの練習。社会的資源の利用。)家族自身の心身の健康(共有による負担の軽減など)がポイントです。
時間と根気のいる療養になりますが、「焦らず」「諦めず」力を合わせて回復を目指しましょう。

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