神経症(自律神経失調症を含む)
心の問題が身体症状に出ることです。

 「神経症」とは、心の問題があるために、神経系に変性などの形態的な異常がないにもかかわらず、神経が病気になっているかのような症状を呈する状態です。つまり心の葛藤が身体にも出てきてしまう(このため患者さんはたいていまずは内科医を受診しますが「異常ありません」と言われてしまいます)のですが、自分がどんなことで悩んでいるのかを患者さん自身も最初のうちは気づいていないことが少なくありません。

 よく見られる症状には不安の他に「どうき」、息切れ感、めまい、ふるえやしびれ感、ほてり感や発汗、など自律神経系症状を伴うことが多い場合「自律神経失調症」と呼ばれたりもしますし、「更年期障害」ではないかと思われたりもします。また飲み込みにくさ、歩行困難、声が出ない、などの運動・知覚神経系の症状を呈するものもあります(ヒステリーとか転換性障害と呼ばれます)。何かが気になって仕方がないという不安や漠然とした不安を訴えることが多いために、新しい国際分類では神経症の多くが「不安障害」という疾患カテゴリーに入っています。

 神経症は主な症状によって、
(1)恐怖症(特定のものや状況に過度な不安を感じ、それを避けようとするために日常生活に支障をきたすもの。)、
(2)強迫性障害(特定の強いこだわりがあり、それをしないと気が済まない、不安になる、というもの。「外出時に戸締まりを何度も確認しないと気が済まない」「帰宅したら何度も手を洗わないと汚れているようで不安」「入浴や就寝の仕方に自分なりの一定の手順があり、それを守らないと不安」など。)、
(3)全般性不安障害(日常のいろいろなことが不安になったりイライラしたりする。)、
(4)転換性障害(飲み込みにくさや歩行困難などの運動・知覚神経系の症状が出るもの。)、
(5)解離性障害(ストレス時などに一種のトランス状態に入ってしまうことを繰り返すもの。)などに分類されます。
さらに広義の神経症には、
(6)拒食や過食などの摂食障害、
(7)「自分が自分であること」自体にいつも不安定感、生きづらさ、居場所のなさなどを感じてしまうパーソナリティー障害、
なども含まれます。

 症状的にはいろいろありますが、共通しているのは背景に大事な誰かとの対人関係の問題など心の葛藤を、あまり意識されることはなくても、抱えていることがあります。また抗不安薬などの薬物療法単独では長期的な治療成績があまり良いとは言えないこともあり、専門的な精神療法を行うことが勧められます。精神療法には幾つかのアプローチがあるのですが、いずれにしても患者さん自身の心のスタイルの修正を行っていくものであり、時間と労力はそれなりにかかりますが根本的な改善が期待できます。